ちょっとしたご縁で知り合った謙虚なボクサー。齋藤眞之助選手・日本ライト級初防衛戦、最終ラウンドの大逆転劇に泣いた観戦記。
とある日に出会った齋藤眞之助さんは、驚くほど謙虚で礼儀正しい方だった。「今日練習があるんです」と聞かされ、「スポーツやってるんですか?」と軽快に尋ねると「ボクシングを少々」との答え。空手経験のある私は、昔の感覚で「知り合いにも4回戦ボクサーがいてね…」なんて偉そうに語ってしまった。
しかし、どこか漂うタダ者ではない雰囲気。気になってその場で検索してみると→→→なんと現・日本ライト級王者。冷や汗が出ると同時に、自分の無知さに恐縮してしまった。自分を誇示せず、高ぶらない。その佇まいに一瞬でファンになり、8月9日、立川で行われる初防衛戦へ足を運ぶことを決めた。
そして8月9日。会場のアリーナ立川立飛。髪を真っ赤に染めてリングに上がった齋藤選手は、あの日の穏やかな表情とは違うファイターの顔をしていた。
しかし、試合は想像以上に苦しい展開となる。対戦相手は経験豊富な実力者。サウスポーのやりにくさもあるのか、相手の的確なパンチがヒットし、斉藤選手は後手に回ってしまう。1R、2R、3R……素人目に見てもポイントを取られているのは明らかだった。
5R終了時の採点公表。結果は「0-3」で挑戦者優勢。後半に入っても展開は変わらず、相手の応援団の歓声が響き渡る。「初防衛の壁は高いのか……」会場にどこか諦めと緊張感が漂い始めていた。
運命の最終10ラウンド。絶望的な判定差、「うーーん、これはこのまま終わってしまうのかなあ」そんな雰囲気が否定できない中、残り2分を切ったその時だった。自分の席からは齋藤選手の背後で見えづらかったが、乾いた音とともに相手が崩れ落ちる。一瞬の隙を突いた渾身のアッパーカット。劇的なダウン。「いったい何が起きた?」地鳴りのような歓声が会場を揺らす。自分が叫んでいたのかどうかすら覚えていない。立ち上がった相手に、最後は怒涛のラッシュ。レフェリーが割って入り、試合終了。
10R TKO勝利。最後の最後で見せた大逆転劇。諦めない心が引き寄せた奇跡の瞬間に、気づけば自分の目から涙が溢れていた。
真っ赤なTシャツを着たファンたちが歓喜に沸く中、マイクを握った齋藤眞之助選手の一声は、どこまでも彼らしかった。
開口一番、激闘を演じた相手への感謝と敬意。そして「休みなのに立川まで来てくれてありがとうございます」とファンを気遣う言葉。激しい戦いを終えた直後とは思えないほど、礼儀正しく暖かいマイクパフォーマンスだった。(なぜか最後に「今日誕生日の人、おめでとうございます!」と言っていたのは謎のままだが)
山梨県出身、石川ボクシングジム立川所属。強くて、優しくて、どこまでも謙虚な「身近なチャンピオン」齋藤眞之助選手。次の防衛戦は12/6(日)。ぜひ一度、会場で彼の勇姿を目撃してほしい。絶対に後悔はさせない、熱い戦いを見せてくれるはず。ぜひみなさん、ご注目ください。
齋藤眞之助選手、熱い戦いをありがとうございました。
齋藤眞之助選手と1枚。ありがとうございました。このTシャツが本文中の「真っ赤なTシャツ」。試合前で売店のおばちゃんに「眞之助さん応援するならこれ買いなよ!」と推されて買ってしまいました。バックプリントかと思って買ったら前に名前が入ってました。
〇齋藤眞之助選手プロフィール
齋藤 眞之助(Shinnosuke Saito)
◎所属/石川ボクシングジム立川
◎日本ライト級チャンピオン/2026.3.18 獲得
◎OPBFライト級3位/2026.8.4発表
◎WBO-APライト級5位/2026.8.11発表
◎2019年度・全日本ライト級新人王
◎2016年9月27日デビュー
◎17勝/6KO/6敗/スイッチ
◎試合予定/2026年12月6日/アリーナ立川立飛
◎対戦相手/西畑直哉選手(竹原・畑山)
◎山梨県甲府市出身/1995年8月生まれ
◎甲府市立北新小学校卒業
◎甲府市立北中学校卒業
◎山梨県立農林高等学校卒業
◎憧れのボクサー/ロイ・ジョーンズJr
◎趣味/ボクシング